家づくりの現実

4.全体を見る力(知識)をつける

家の価格を比較する時、
単純に家の見積書だけを横並びにしてしまうと、
一番価格が高い家を建てる可能性が高くなります。

オプションとして必要となるコストがそこには入ってなかったり、
実は、外構代がべらぼうに高かったり、
電気代やメンテコストといった、住んでから必要となるコストに
大きな差が生じるかもしれないからです。

ゆえに、家の価格を比較する場合はもっと全体に目を向けること、
つまり、オプションや外構も含めた上で一体いくらになるのかと、
住んでから必要となる維持費に今後どれだけのコストがかかりそうなのか
にまで目を向けながら考えなければいけません。

例えば、延床面積30坪(100㎡)の平屋を建てる場合、
中庭がある家とない家では家の価格がけっこう違ってくるのですが、
これは同じ30坪でも工事面積が違ってくるからです。

真四角で家が建てられると仮定した時、
中庭がない家の場合、縦横ともに10mで建てられるため、
壁の全周が40mで済むのに対し、
中庭がある家の場合、仮に中庭を10㎡(=6帖)分つくるとしたら、
中庭を含めた総面積が110㎡となるため
壁の長さがその分増えるし、かつそれにプラスして
10㎡ある中庭部分の壁も工事しなければいけなくなるからです。

このような理由から、
中庭がある家はコストが割高になってしまうのですが、
他方、中庭がある家は割安になり、
中庭がない家が割高になるものも当然出てきます。

まずはカーテンにかかるコストです。
周囲の人からの視線を一切気にする必要がない中庭には、
基本的にカーテンが必要ないからです。

また、採光を中庭から確保することが出来れば、
外周部に大きな窓を設置する必要もなくなるため、
外周部に設置する窓にもカーテンをつける必要がなくなります。

他方、中庭がない家はカーテンなしでは家の中が丸見え過ぎて、
よほどの田舎でもない限り、
とてもじゃないけどリラックスして過ごすことが出来ません。
ゆえ、ほとんどの窓にカーテンという高額オプションがひっついてきます。

シャッターにかかるコストも
中庭がある家とない家とでは大きく違ってきます。
中庭の大きな窓には直風が当たらないのに対し、
外周部の大きな窓には台風時などの強烈な直風がモロに当たるからです。

そんなわけで、中庭がある家とない家では、
単純に家の価格が100万円違ったとしても、
オプション費用でトントンになる可能性が高いのですが、
それ以上に大きな違いが生じるのが外構コストです。

中庭がある家には
建築代の中にウッドデッキの工事代が含まれているのに対し、
中庭がない家には、
ウッドデッキ工事代が建築代に含まれていないし、
(外構工事として見積るからです)
防犯性とともにデザイン性が高い中庭がある家には
目隠しや防犯対策が必要ないと同時に、
家のデザインを引き立てるために庭を飾る必要もないのに対し、
中庭がない家は、目隠しや防犯対策とともに
庭を飾ることによって家のデザインの悪さを補充しなければいけないからです。

そして、おそらくこの外構費用に関しては、
少なくとも100万円ぐらい差が生まれるでしょうし、
場合によったら200万円以上差が生まれるかもしれません。

ウッドデッキをつくるとなればそれだけで50万円ぐらいはするし、
そのウッドデッキを使えるようにするために目隠しを設置するとなれば、
さらに50万円ほど余分に必要となるし、
見た目にこだわって塀を木目調でつくるとなれば、
50万円どころか100万円ぐらい高くなってしまうかもしれません。

以上のような理由から、
価格を比較する時は単純に家だけに目を向けるのではなく、
それに付随する工事やコストにまで目を向けた方がいいというわけです。



ランニングコストという落とし穴


また、家を建てた後にかかるコストについても
建てる時に目を向けておくべきです。
電気代、メンテナンスコスト、そして増改築コストです。

これも分かりやすく一つ例を挙げると、
建売住宅によくある総二階建ての家のことを
一般的に「ローコスト住宅」と言いますが、
これは、単純に建築コストは安くなるものの、
先程ご説明したように家に付随してかかるコストが割高になるとともに
(カーテン、シャッター、ウッドデッキ、外構)
将来、増築する可能性がグンと高くなるため、
老後を目前に大きな出費が必要になってしまうかもしれません。

将来、足腰が悪くなるかどうかなんて今の段階では誰にも予想出来ませんが、
もしそうなってしまったら上下移動がとっても大変になるからです。

他方、平屋にすれば間取りのつくり方によっては
2階建てよりも高くなってしまうこともありますが、
将来増築する可能性は圧倒的に低くなります。
全ての部屋と収納が同じフロアにあるし、
やがて子供たちは家を出ていくため部屋が余る可能性が高いからです。
というわけで、家を建てる時は
全体的なところまで目を向けるようにしてもらえたらと思います。
それでは、、、

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